BAD & BAD【Ⅱ】
誰にでも、どこにでもある、子どもの限界。
それが、私達の関係にも発生した。
きっと、それだけのことだった。
私が不良になる前は、たまたまばったり会えたら昔と変わらずに喋って、誘われたら集まっていた。
けれど、やはり、3人揃って遊ぶ時間は少なかった気がする。
不良になってからは、この通り、毎日のように顔を合わせて、うるさいくらい騒いでる。
だから、かな。
懐かしさで胸がいっぱいになるのは。
「……幸珀」
「ん?」
こぼした紅茶を拭き終えた真修は、雑巾を洗いながら、開きかけた唇を一度つぐんで。
灰色の眼を、優しく伏せた。
「今度、久し振りに3人で遊びたいね」
あぁ、すごく、幸せだなぁ。
「そうだね!」
「幸珀は何して遊びたい?」
「うーん……あっ、海は?」
「この季節に!?寒いよ!」
「それじゃあ、ボウリング!真修と朔をけちょんけちょんに倒したい!」
「俺らを倒してスッキリするのが目的なの?ひどいな」
アールグレイの香りが、部屋に満ちていく。
幼なじみの絆に、飾りを付けるように。