BAD & BAD【Ⅱ】
私の優しさを無下にするとは、何たる侮辱。
もう飲ませてやんないぞ?
「桃太郎さん、怒らないでください!もう1杯、いかがです?」
「もらう。サンキューな、真修。どっかの意地の悪ぃバカな奴とは大違いだぜ」
「それは誰のことかな?」
目を逸らすな、チビ。
こっちを向け、こっちを。
「で、なんで暗かったの?」
「散々負かされたんだよ。弘也と剛に」
「あらま」
桃太郎が素直に白状したのは、真修の癒し効果のおかげだな。うんうん。
いっそ真修は、神雷のゆるキャラになっちゃえばいいと思う。
「2人が俺のことを集中的に攻撃したせいで、ボロ負けしちまって……そしたら2人がからかってきやがったんだ。ほんとムカつくぜ!」
「えっ、私もからかいたかった!」
「おいこら」
レースの景品で「オールでゲーム大会をする」という師匠の願いを叶えたので、今日は皆でゲーム三昧。
大部屋のあちこちで、ゲームが行われている。
大きなテレビの前では、たかやんと弘也と剛の仲良し3人組がカーレースをしていて。
師匠と凛は、3人組の近くでアイスを食べながら、家庭用ゲーム機で通信して対戦している。
師匠の右足首は、元気に動き回れるほど、もうほとんど良くなったらしい。すぐに治ってよかった。私と真修の応急処置のおかげかな。
下っ端達も、ゲームを観戦していたり、後方でアナグロゲームをしていたり、カーレースや家庭用ゲーム機の順番待ちをしていたりしてる。
ちなみにそれらのゲームは、全て師匠の私物。どうりで荷物が人一倍重そうだったわけだ。
皆、楽しそうで何より。
私も早く仲間に入りたい。