BAD & BAD【Ⅱ】
すると、師匠がテーブルからオレンジジュースの缶を1本取ってきて、私に渡した。
え?なに?
これを飲めと?
私は今、オレンジジュースよりアールグレイが飲みたい気分なんですけど。
「それを、俺にぶっかけてほしいんだ!」
「はい!?」
あんたはMかっ!!
なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ!
「前に鷹也にかけてたでしょ?それを俺にもやってほしいんだ」
「あ、あの時は……」
「ダメかな?」
「あの時はたかやんがあまりにもウザかったから、ついやっちゃっただけで……」
「俺の悪口言ってんじゃねぇよ」
たかやん、自覚なかったの?
あの時のウザさは半端なかったよ。
「どうして、こんなことを頼むんですか?」
女々しかったたかやんとは違って、師匠は秘密を言うか言わないかではなく、隠すことだけを考えていた。
だからこそ、そこまでうじうじしていなかったし、秘密に気づかせる隙も滅多にできなかった。