BAD & BAD【Ⅱ】




隠し事をしている、後ろめたさはあるのかもしれないけど。


剛が神雷に戻ってきてからは、はちゃめちゃな不良達はそんなことをいちいち気にする、器の狭い奴らじゃなくなった(と思う)から、

わざわざ私に頼んでも、メリットはない気がする。




つまり、何が言いたいかというと、師匠にオレンジジュースをかける理由が全く見当たらない!




「前に、幸珀が鷹也にコーヒーをザバーッてかけたら、皆の本当の気持ちが次々とわかっていって、皆の雰囲気が良くなっていったでしょ?俺もそれにあやかろうと思って」


「あやかるって……私には何の力もありませんよ?ただ冷たいだけだと思いますよ?」


「幸珀には、何かすっごいパワーがあるよ!」




そんなこと言われたってなあ。

滝行じゃあるまいし。


師匠は私をなんだと思ってるの。



すっごいパワーってなんだよ。抽象的すぎるだろ。


私は漫画の中のヒーローじゃない。あくまで不平等な現実で生きてる、華の女子高生だ!!




「それに、自分の力だけじゃ、もうどうにもできないだろうし」



瞼を伏せながら脇腹を触る師匠に、嘆息を吐いた。



< 185 / 730 >

この作品をシェア

pagetop