BAD & BAD【Ⅱ】
隠し事をしている、後ろめたさはあるのかもしれないけど。
剛が神雷に戻ってきてからは、はちゃめちゃな不良達はそんなことをいちいち気にする、器の狭い奴らじゃなくなった(と思う)から、
わざわざ私に頼んでも、メリットはない気がする。
つまり、何が言いたいかというと、師匠にオレンジジュースをかける理由が全く見当たらない!
「前に、幸珀が鷹也にコーヒーをザバーッてかけたら、皆の本当の気持ちが次々とわかっていって、皆の雰囲気が良くなっていったでしょ?俺もそれにあやかろうと思って」
「あやかるって……私には何の力もありませんよ?ただ冷たいだけだと思いますよ?」
「幸珀には、何かすっごいパワーがあるよ!」
そんなこと言われたってなあ。
滝行じゃあるまいし。
師匠は私をなんだと思ってるの。
すっごいパワーってなんだよ。抽象的すぎるだろ。
私は漫画の中のヒーローじゃない。あくまで不平等な現実で生きてる、華の女子高生だ!!
「それに、自分の力だけじゃ、もうどうにもできないだろうし」
瞼を伏せながら脇腹を触る師匠に、嘆息を吐いた。