BAD & BAD【Ⅱ】
納得のいっていない師匠をスルーして、ごくごくと残りのオレンジジュースを飲み干した。
あー、美味しい。
「こ、これだけ!?」
「はい」
「全部かけてよ!」
「ダメです。師匠には1滴で十分です」
心配してくれる仲間になら、秘密を打ち明けてもいいかもしれない。仲間を頼りたい。
師匠は、そう思い始めたようだ。
いい傾向だと思うし、どうぞご勝手に、と言いたいところなんだけど。
そのために、私に後押ししてもらおうとしていたのは、さすがに見過ごせなかった。
「師匠だからって、甘やかしたりしませんよ」
「っ!……幸珀……」
他人を頼りにするなら、まずは自分で自分のことを決めるべきだ。
どんなに師匠がたくましい外面を装ったとしても、子犬のようなピュアな眼で甘えてきたとしても、心を鬼にして突き放さなければいけない。
辛くても自力で這い上がって、独りで傷を明かせるようにならないと、師匠のためにならないから。