BAD & BAD【Ⅱ】
師匠の手は、咄嗟に差し出したハンカチを通り越して。
ハンカチを持っている私の右手を、力なく握った。
「パーカーマン、助けて」
私じゃなくてパーカーマンに救助要請?
そこはせめて、私の名前を呼んでくださいよ!
……でも。
受け取りましたよ。
師匠が振り絞った、ちっぽけな勇気も。
不安で、怖くて、息苦しくてたまらない、独りきりの脆い想いも。
ちゃんと、受け取りました。
「助けて……っ!」
私は朗らかに口角を上げながら、おぼろげな師匠の大きい手をそっと握り返した。