BAD & BAD【Ⅱ】
私とたかやんが言い合っていると、師匠がフッと笑みを噴いた。
師匠が、笑った。
無邪気に、笑ってくれた。
雄々しくも弱々しくもない、師匠の明るい笑顔に、萎縮した空気がほぐれていった。
「私達に、限界なんかありません。師匠に『助けて』と言われた以上、どんな問題だって即効解決してやりますよ!あ、もちろん、師匠の力も必要ですからね?」
1人だけ、話して終わりだと思わないでくださいよ?
ちゃんと皆で師匠を救ってみせるので、安心していてください。
師匠が流した涙を、無駄にはしません。
「僕らにできないことなんてないんだから、泥船に乗ったつもりでどーんと任せてよ!」
「弘也、それ違う。泥船じゃなくて大船な」
「あ、あははー!そ、そうとも言うよね~」
「そうとしか言わねぇよ」
アホな剛に訂正されるとか、どんだけだよ。
弘也はまだ動揺してたの?
「あ、あのさ、京。ゲーム機壊して、本当に本当に本当に本当にごめんな……?」
「いやいや、いいよ!壊れちゃって悲しいけど、ゲーム機を落とした俺の不注意でもあるし。それに、ゲームソフトは無事だし。俺の方こそ、取り乱して泣いちゃってごめんね」
「京、お前って奴ぁ~~っ!」
師匠の優しさにうるっときた弘也は、衝動的に師匠に抱きついた。