BAD & BAD【Ⅱ】
今こそ、くよくよしている師匠に、躊躇なくドバーッと一気に、オレンジジュースを全部ぶっかけてしまいたい!
女々しい!ヘタレ!情けない!
ずっと秘密を悟らせずにきた、師匠の演技力は尊敬してるけれども。
師匠が助けてほしいと思っていることと、体についたいくつもの傷痕は十中八九……というか絶対関係しているんだから、SOSを口にしたならもういいじゃん。
怖がらずに、男らしく豪快に見せちゃいなよ!
……と、がつんと説教したい気持ちをぐっと抑えて、
「1人で入りたいなら、それでもいいですよ?」
あえて、師匠を試す提案をしてみた。
欺き通すか、傷の痛みを共有するか。
どっちを選ぶかは、師匠の自由だ。
師匠は脳内で自問自答を繰り返しながら、悩みに悩んで、どっちにするか決断した。
「……決めた」
「結局どうすることにしたんですか?」
「皆と一緒に仲良くお風呂に入ってくるよ!」
師匠の表情に、戸惑いはひと欠片も残っていなかった。
そうでなくっちゃ、師匠じゃない!脱ビビり!
ひゃあ~、今の師匠見た?すっごく可愛くて、すっごくかっこよくなかった!?
さっきまでのヘタレさがばっちり消えてた。目が腫れてなかったら、爽やかにキマってただろうな。最高。イケメン。あとでサインください。あ、やっぱいりません。代わりに対戦ゲームに付き合ってください。