BAD & BAD【Ⅱ】
唇を尖らせながら、背中をさする。
周りを見渡せば、皆は布団も荷物も片付けたようで、思い思いに過ごしていた。
大部屋が、寝る前より格段に綺麗になってる。乱雑していたテーブルの上も、あちこちに放置してあった空き缶やお菓子のカスも、各所にあったゲーム機も、何もない。すっきりしてる。
清掃隊長であるたかやんが、いろいろと皆に指示したのかな。
「おはよう、幸珀」
「おはようございます」
朝から、師匠の仏様級のにっこりスマイルを拝められたおかげで、気分は爽快だ。
弘也への怒りも、睡魔も、一気に忘却の彼方へ。
よかったね、弘也。私に倍返しされなくて。師匠に感謝しなよ?
「たかやん、今何時?」
「午後1時」
「えっ、まだそんな時間?」
「まだ、だと?……お前、やべぇな」
「やばい?可愛すぎてやばいって意味?」
「異常だなって意味のやべぇだよ」
真顔で返されてしまった。
異常?どこが?