BAD & BAD【Ⅱ】




変に気負ってないし、ガチガチに固まってもない。


あそこにいる師匠は、いつもの、鈍くて純粋で好奇心旺盛な“弥生京”だ。



まるで、太陽みたいだ。


そう思ったら、急に身体がふっと軽くなった気がした。



「自慢だなんて、言ってもらえる資格ないわ。長い間、息子を傷つけ続けてきたのに。……母親失格よ」


「そんなことないっ!!」



師匠の大声が、部屋全体に反響した。



うまくまとめなくていい。

不器用だって、いいんだ。


自分の素直な気持ちを、着飾らずに、ありのまま届けてみて。




「誰がなんと言おうと、母さんが俺の自慢なのは変わらないよ。今までも、これからも」



それでも、京ママは首を横に振った。


自分が師匠にとっての「自慢」であることが、どうしようもないくらい辛くて。



「やめて、京くん。自分でもわかってるの。自覚していなかったとはいえ、自分自身がやってきた行為の最低さは、痛いくらいわかってる」


「母さん……」


「本当にごめんなさい」




< 269 / 730 >

この作品をシェア

pagetop