BAD & BAD【Ⅱ】
変に気負ってないし、ガチガチに固まってもない。
あそこにいる師匠は、いつもの、鈍くて純粋で好奇心旺盛な“弥生京”だ。
まるで、太陽みたいだ。
そう思ったら、急に身体がふっと軽くなった気がした。
「自慢だなんて、言ってもらえる資格ないわ。長い間、息子を傷つけ続けてきたのに。……母親失格よ」
「そんなことないっ!!」
師匠の大声が、部屋全体に反響した。
うまくまとめなくていい。
不器用だって、いいんだ。
自分の素直な気持ちを、着飾らずに、ありのまま届けてみて。
「誰がなんと言おうと、母さんが俺の自慢なのは変わらないよ。今までも、これからも」
それでも、京ママは首を横に振った。
自分が師匠にとっての「自慢」であることが、どうしようもないくらい辛くて。
「やめて、京くん。自分でもわかってるの。自覚していなかったとはいえ、自分自身がやってきた行為の最低さは、痛いくらいわかってる」
「母さん……」
「本当にごめんなさい」