BAD & BAD【Ⅱ】
私も、保証します。
師匠は師匠らしい、京ママのヒーローになれた、と。
だから、自信を持って、胸を張ってください。
「頑張ったな」
たかやんが、師匠の頭をポンポンと優しく撫でた。
嬉しくてたまらなそうに、師匠の口元がゆるゆるニヤけていく。
……師匠は、わかってる。
作戦はうまくいったけど、ただ師匠と京ママが一歩踏み出しただけだって。
大変なのはこれから。
それをきちんとわかっている上で、私はあらゆる意味を込めて、師匠に言わせてもらおう。
「師匠」
「ん?」
「よかったですね」
「うん。幸珀、いろいろありがとう」
本当は祝賀会をやりたかったが、京ママを起こしてしまうといけない(とたかやんに猛反対された)ので、早目に師匠の家を出て行った。
帰り際、「おやすみ」と囁いた師匠の幸せそうな姿に、私まで幸せな気分になった。
――こうして、弥生家をなんとかしよう大作戦は無事に大成功を収め、お月様に見守られながらひっそりと幕を閉じた。