BAD & BAD【Ⅱ】
なんでもいいけど、自分で墓穴を掘ったりすんなよ?難易度を自ら上げていくスタイルはおすすめしない。
俺は不意に、視線を上にずらした。
『……月が、綺麗だな』
『えっ、何だそれ、告白か?』
『ちっげぇわ!!』
鷹也、変な誤解すんじゃねぇよ!
いきなり告るとかありえねぇだろ!ただ単に綺麗だと思っただけだわ!
顔を真っ赤にする俺と、ホッとしてる鷹也と、爆笑してる弘也。
弘也の笑いが止まって、短い沈黙が続いた。
数日前に特別に幹部室を借りて、鷹也と弘也のために計画した、とある作戦。
俺が案を出して、作戦を練っていった。
2人のことをよく知っているからこそ、助けになりたかった。
仲間が大切だからこそ、無条件で手を差し伸べたかった。
その一心で、作戦を立てた。
今度は、外側からではなく、内側から2人を守る。
それが、“今”の俺のやり方。
『必ず、作戦を成功させようぜ』
俺は咳払いをして、拳を前に突き出した。
鷹也と弘也は顔を見合わせて小さく笑みを作り、同じようにギュッと握り締めた拳を前に突き出した。
3人の拳が、コツンと合わさる。
真夜中に交わされた誓いも、3人だけの秘密作戦もそっと胸にしまいこんだ俺らは、何事もなかったように皆のいる大部屋へ戻っていった。