BAD & BAD【Ⅱ】
「ねぇ、凛、聞いてる?」
ハッとして、目を覚ます。
額と手のひらに、じんわりと汗が滲んでいた。
呼吸も荒く、鼓動の速度も忙しない。
上半身を起こして、落ち着きを取り戻そうとする。
……また、あの夢か。
何回見させる気だよ。これで5回目だぞ?
あー、頭痛ぇ。
起きてから同じ夢だとわかるようになってる仕組みを、今すぐに変えてほしい。
あんなひどい夢、もう二度と見たくねぇ。
幸珀が消えちまう夢なんて……。
「……凛?」
「こ、はく」
「どうかした?」
すぐ隣に、俺の顔を覗き込んでる幸珀がいた。
そのことにすごく安堵して、ようやく息苦しさが抜けた。