BAD & BAD【Ⅱ】
ここは資料室か、どこかの準備室だろう。
この場にいるのは私と、私をここに連れ込んだ誰かの、2人だけ。
だんだんと暗闇に目が慣れていき、視界に情景が映しだされていく。
誰なのか問わずとも、こんなことをする奴は1人しかいない。
「私に近づくな、善兄!」
「やっと、2人きりになれたね」
「変態!悪魔!」
「いつも邪魔な奴らがくっついてて、鬱陶しかったよ」
私が吐き捨てた暴言を、善兄は容赦なく無視しながら、ギュッと私を抱きしめた。
ぶわっ、と鳥肌が立つ。
「はーなーれーろー!!」
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
戦慄するせいで、握力が、ない。
「ねぇ、幸珀。僕以外の男と、喋らないで。僕だけを見て。僕だけを、感じて」
おいこら、無視すんな。
表のクールさに忍ばせていた、裏の顔であるヤンデレを発動してきやがった。
善兄は独占欲の塊でできているような人だ。このくらいの束縛は朝飯前。もっとひどい時だってある。