BAD & BAD【Ⅱ】
そういえば、教育実習生のいる期間って2週間だったっけ。
あと、水・木・金の3日間我慢すれば、バラ色ライフが戻ってくる。
それほど嬉しいことはない。
だって来週になったら、善兄と会わないし、善兄に名前を呼ばれないし、善兄に抱きつかれないし、善兄に束縛されないんだよ?
地獄の日々から最高な日々に変わるんだよ?
嬉しいに決まってんじゃん!
「このまま、兄貴が何もしてこなけりゃいいんだけどな……」
「あんたが役に立てば、もう少しゆとりを持って過ごせたんだろうな。なんであんたってこんなポンコツなんだろうね」
「さりげなく嫌味を言うな」
「さりげなくじゃないよ。堂々と言ってるんだよ」
「なおさら悪いわ!」
朔の俺様発言が吐かれる前に、屋上の重厚な扉をギギギ、と開けた。
鈍い音をすり抜けて、爽やかな風が舞い込む。
軽い足取りで屋上に侵入し、青空を仰ぎながら伸びをした。
うーん、気持ちいい。
誰もいないから、貸切状態だ。ラッキー。
「なんかここで食べると、ピクニックしてる気分にならない?」
「なんねぇよ」
「そこは嘘でも『なる』って言って!」
バッサリぶった切んないでよ。ひどい奴だな。