BAD & BAD【Ⅱ】
少女Kサイド
“あの日”が、全ての始まりだった――。
薄暗い部屋に、光が入り込む余地はない。
ただひとつあるとすれば、窓の外に広がる、ぼんやりとした夕闇だけ。
『愛してるよ、幸珀』
撫で回された頬に、嫌悪感が走る。
やめて。怖い。
私を、自由にして。
『永遠に』
抑え込まれた愛も、誓われた永遠も、全部全部壊れてしまえばいい。
ううん、私が、壊してしまいたい。
悪くなった心の奥で、拒否反応が蠢いていた。
大嫌いだ。
確かに在ったはずの好意が喪失して、あっけなく弱々しい涙が滴り落ちた。
この監獄から、一刻も早く逃げ出したい。