BAD & BAD【Ⅱ】
「教育実習生としてここに来た本当の目的って、やっぱり……」
恐怖で、喉が震える。
「うん、そう。幸珀に会うため」
腰に回っている善兄の腕の力が、さらに強まる。
あーあ、あの俺様がまた役に立たなかった。
あいつ、いつになったらボディーガードの仕事が板につくの?
「幸珀の心が、僕一色になればいいのに」
「キモいこと言うな!!」
超至近距離からパンチを仕掛けたが、いとも簡単に止められてしまった。
不敵に笑う善兄に、憎悪と苛立ちを覚えて、下唇を噛み締める。
強さは健在か。憎たらしいな。
今の私じゃ、善兄に喧嘩を挑んでも、敵わない。
でも、勝つのは無理だとしても、逃げるだけなら……。
「そうピリピリしないで」
お前が原因だよ!
無自覚なフリしてんじゃねぇよ!