BAD & BAD【Ⅱ】
善兄の好き好き光線が、グサグサ突き刺さる。
息が、苦しい。
「僕なら、絶対に幸珀を不自由させないし、誰よりも幸せにしてあげられる。だから、僕のそばにいてよ、幸珀」
「善兄のそばにいたら、不自由するに決まってるでしょうが!」
善兄の恋人なんかになっちゃったりした日には、男子と会うことすらなくなって、善兄の愛に洗脳されて。
善兄による善兄のための、ふたりしか住めない束縛世界が完成しちゃう。
そんなのまっぴらごめんだ。
善兄にとっての自由と、私にとっての自由は、きっと違う。
私は、誰かに敷かれたレールの上をただ歩いていく、支配されたような生き方はしたくない。
もっとおおらかに、のんびりと、のどやかに暮らしたいの!
「善兄がわざわざ幸せにしてくれなくても結構っ!自分の幸せは、自分で掴むもんだよ!!」
善兄に抱きしめられながらも、難しい体勢から善兄に回し蹴りを食らわした。
華麗に避けられてしまったけど、善兄と距離ができた。
今がチャンスだ。