BAD & BAD【Ⅱ】
小悪魔的クレバー
「……最悪、だ」
呼吸が浅いのは、もう、しょうがない。
怖がってなんか、ない。
そう強がったところで、脆さを隠せてない自分が、嫌いだ。
善兄に抱きしめられると、必ず束縛されてるように感じる。
過去のトラウマを、払拭できない。
私は強く在りたいのに。
「そろそろ、教室に戻ろう」
早く、たかやんと喋って、この苦しさを消したい。
固くなった身体がそれなりにほぐれ、給水塔を降りて扉の取っ手を掴んだ。
屋上は大丈夫だと予想してたんだけどなぁ。チッ、選択ミスだったか。
「それにしても……」
最後はやけにあっさりしてたな。
あのヤンデレな善兄のことだから、休憩が終わったからって、「もう少し」とか呟いて駄々をこねて、抱きしめ続けると思っていた。
すぐ離れてくれて助かったけど、善兄が何か企んでそうでちょっと怖い。
「何も起こらなければいいな」
平和が1番だ。