BAD & BAD【Ⅱ】
「何か話した?」
「まあ、世間話をちょっと」
「世間話ぃ?」
おい、目ぇ泳いでるぞ。
嘘つくの下手か。
嫌いな奴と世間話するとか、ありえないでしょ。もっとマシな嘘つきなよ。
「兄貴、お前に彼氏がいんの知ってたぜ」
「え!?」
「お前が教えたのか?」
「教えてないよ!」
「やっぱりな。だと思った」
絶対に、善兄には教えたくなかった。
だって、善兄が知ったら、彼氏が誰か突き止めてすぐさま殺しに行きそうなんだもん。多大な被害は出したくない。
でも、まさか、善兄が彼氏の存在を既に知っていたとは驚いた。
なんで知ってるんだろう。誰かに聞いたのかな。
善兄なら、情報網すごそうだし、私のことをあらゆる術を駆使して調べててもおかしくない。
本当にそうだったらどうしよ。私の知らないことまで知ってそう。
なんだか寒気がしてきた。
家に帰ったら、個人情報の管理を強化しておこう。