BAD & BAD【Ⅱ】

堂々と仁王立ちしている私に、朔は腑に落ちない様子で口を尖らせた。




「兄貴に、何かされなかったか？」


「残念ながら善兄の執着さに負けて、抱きしめられた。以上」


「……」


「ここでノーコメント！？」


「いや、何を言えばいいか考えてた」




無言が１番辛いんだよ！

なんでもいいから何か言えよ！


長年一緒にいるのに、慰めの言葉もなしってひどくない？



これだから、見た目だけの男はダメなんだよ。私みたいに内面も磨きなさい。



「……あっ、ドンマイ」


「言うの遅いわ！」



しかも悩みに悩んでそれかよ。

お前の語彙力大丈夫か。


なんでわざわざ「ドンマイ」を選んだの。他にもいろいろあったでしょ。




「まっ、無事で何よりだ」


「本当にそう思ってる？棒読み感半端ないんだけど」


「思ってるに決まってんだろ。俺はお前のボディーガードだぞ？」


「ああ、激弱ボディーガードね」


「激弱つけんな！」