BAD & BAD【Ⅱ】




善兄と毎日会わなければならなかった、地獄の2週間が過ぎたおかげで、私は今解放感で満ち溢れている。




私と屋上で対峙した日以降も、善兄はちょくちょくちょっかいをかけてきた。



あわよくば2人きりになって抱きしめようとしたり、たかやんに嫉妬して抱きしめようとしたり、家に連れ込んで抱きしめようとしたり……。


簡潔に言うと、善兄の抱きつき癖は粘着性があって、異常で脅威なのだ。




苛立たしいのは、私から見た限りでは善兄の変態さがダダ漏れていたのに、他の生徒はおろか先生まで善兄の上辺に騙されて、高い評価をしていたことだ。


外見を利用しやがって……ずるい。あざとい。反則だ。善兄がブサイクだったら、絶対に問題視されて、教育委員会に訴えられていたはずだ。





……だが。



今の私には、もうどうだっていい。


善兄がいない現状が最高すぎて、そんなの気にならない。




本っっっ当に、2週間は長かった。1年くらいに感じた。


朔が予想通り役に立たなかったせいか、余計に大変で辛くて面倒だった。罰として、今度何か奢ってもらおう。




拍子抜けなのは、最後の最後まで、善兄が本気にならなかったこと。


いつも悠々としていたから、てっきり教育実習最後の日に何か仕掛けてくると警戒していたが、特に何も起きなかった。



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