BAD & BAD【Ⅱ】
双子とプリンセス
ヤンデレ束縛男からうまく逃げられた私は、下駄箱へ急いでいた。
あのまま抱きしめ地獄にならずに済んでよかった。
本当に私ってなんでもできちゃうな。
それに比べて、朔ときたら。
もっと用心しろよ、あのポンコツが!!
それでも黒龍の総長か!?
内心イライラを募らせ、愚痴を大声で叫びたい気持ちを必死に抑えていたら。
いつの間にか、下駄箱のある生徒玄関に着いていた。
善兄に触れられた感触をさっさと忘れて、気分転換しなくちゃ。
数回深呼吸をしてから、下駄箱で靴を履き替える。
「あっれー、ここにいんじゃん」
この能天気な声は……。
疲労感満載の顔つきで、声のした扉の方を向いた。
「本当だ、こんなところにいた。お前、どこに行ってたんだよ」
「突然いなくなって……探してたんだぞ?」
弘也に続いてこちらへ来た朔とたかやんが、呆れた様子で言ってきた。
その近くには、剛もいる。