BAD & BAD【Ⅱ】





「少女漫画好きとしては、赤い糸があったらなんて憧れたりもしたんだけど……」



左手で、宙を仰ぐ。



「あってもなくても、同じかなって思ってさ」


「同じ、ですか?」


「うん、同じ」



グッと左手を握り締めれば、唄子ちゃんは何とも言えない様子で横目に捉えていた。



所詮、さ。

赤い糸は、赤い色したただの糸なんだよ。



「赤い糸が存在していてもしていなくても、たかやん達とバカ騒ぎしてやんちゃしてる、今と全く同じ生活をしてるんじゃないかな」



私はね、直感や憶測の侵さない個人的な見解だと、大雑把な考え方しかできないから、そう結論付けちゃうんだよ。



夢がないよね。わかる。私も感じた。


乙女な私でも、たまには現実的に物事を考えたりする。




「結局、赤い糸がなくたって好きな人はできるし、赤い糸があったって見えなければ意味がないんだよ」


「……」


「あ、唄子ちゃんを否定してるわけじゃないよ?私はそう考えてるだけ」


「大丈夫ですよ。わかってます」




赤い糸の存在を信じて疑わない唄子ちゃんは、可愛いね。



< 348 / 730 >

この作品をシェア

pagetop