BAD & BAD【Ⅱ】
「少女漫画好きとしては、赤い糸があったらなんて憧れたりもしたんだけど……」
左手で、宙を仰ぐ。
「あってもなくても、同じかなって思ってさ」
「同じ、ですか?」
「うん、同じ」
グッと左手を握り締めれば、唄子ちゃんは何とも言えない様子で横目に捉えていた。
所詮、さ。
赤い糸は、赤い色したただの糸なんだよ。
「赤い糸が存在していてもしていなくても、たかやん達とバカ騒ぎしてやんちゃしてる、今と全く同じ生活をしてるんじゃないかな」
私はね、直感や憶測の侵さない個人的な見解だと、大雑把な考え方しかできないから、そう結論付けちゃうんだよ。
夢がないよね。わかる。私も感じた。
乙女な私でも、たまには現実的に物事を考えたりする。
「結局、赤い糸がなくたって好きな人はできるし、赤い糸があったって見えなければ意味がないんだよ」
「……」
「あ、唄子ちゃんを否定してるわけじゃないよ?私はそう考えてるだけ」
「大丈夫ですよ。わかってます」
赤い糸の存在を信じて疑わない唄子ちゃんは、可愛いね。