BAD & BAD【Ⅱ】
自分はお姫様だって、照れもせずに表現できちゃうところも、1周回って唄子ちゃんの良さなんだろうな。
「幸珀先輩の考えだと、こういうことですか」
渡り廊下を歩いて、体育館に入った。
体育館で遊んでいた見知らぬ人達の楽しげな声が、うっすら聞こえてくる。
行き先は、未だ不明。
「こういうことって?」
「ひろちゃんがあたしに振り向かないのも、幸珀先輩があたし以上にひろちゃんと仲がいいのも、変わらない運命ということですか?」
さっき、唄子ちゃんは自信満々に告げた。
運命は最初から決められているものだ、弘也はいつか唄子ちゃんの元に戻ってくるんだ、と。
けれど、唄子ちゃんは間接的に問うてきた。
弘也はこのまま唄子ちゃんと共になることはないのか、私はそう言いたいのか、と。
「そんな大げさなこと言ってないよ」
ふは、と息を漏らして笑った。
運命を語れるほど、私は大層な人間じゃない。悪い、人間だよ。
「全く同じっていうのは、現時点までのこと。これからのことなんて誰にもわかんない。変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。だから、皆、必死になって生きてるんじゃない?」
「……そう、ですね」
私の少し前を、唄子ちゃんは率先して進んでいく。