BAD & BAD【Ⅱ】
そうだね朔もハイスペックだねはいはい、と朔を軽くあしらいながら、皆と一緒に校舎を出る。
「幸珀もあとでたまり場来るんだろ?」
「うん、行くよ」
「今日はお前と桃太郎【モモタロウ】でパトロールだからな。サボんなよ?」
「えー?やっぱ、行くのやめようかな」
「おい、サボんなっつったばっかりだろうが」
たかやんにもう一度「サボんなよ?」と釘を刺され、渋々頷く。
天パのチビの桃太郎と、パトロールかぁ。
首長の不良撲滅計画が白紙に戻って、繁華街の路地裏には再び不良が群がるようになった。
そのせいで、度々喧嘩を売られる。挑んでくるのは、ほとんどが雑魚だ。弱すぎて相手にもならない。
しかも、悪人更生計画を始めちゃったから、ちゃんと矯正しなくてはならない。面倒さが倍増だ。
パトロールなんかせずに洋館でゴロゴロしていたけど、そんなわがままが通るはずもない。
「パトロールが終わり次第、桃太郎にケーキを作らせよう」
「なに堂々と桃太郎をパシる宣言してんだよ」
「えっ、桃太郎パシるのー?じゃあ、僕も何か命令しよっかなぁ」
まだデコピンされた余韻が残っているのか、額をさすっている剛のため息にかぶせて、弘也が可愛げのない笑みをこぼした。
パトロールから洋館に戻ったら、即刻弘也と一緒になって桃太郎をイジり倒そう。