BAD & BAD【Ⅱ】
かくれんぼウルフ
え?ちょ、ちょっと待って?
どうしよ。扉閉められちゃったよ?
……んじゃあ、開けるか。
動揺しながらも、扉に手をかける。
扉を横に引っ張って開けようとしたが、なぜか開かない。
このおんぼろ扉め!どうなってんだ!
「う、唄子ちゃん、開けてくれない?」
「あたしが今から証明してあげます」
「は?」
証明?なんの?なんで?
今、そんなのどうだっていいでしょ。とりあえず開けてよ。
「幸珀先輩がひろちゃんやたかちゃんにとって、特別でもなんでもないということを」
唄子ちゃんの小さな笑みが、耳をかすめる。
その笑みはだんだんと遠ざかって、ついでに足音も遠ざかって。
扉越しに感じ取れていた唄子ちゃんの気配が、完全に消えた。
え?……えっ!?
どっか行っちゃった?
「唄子ちゃん!唄子ちゃーん!!」
扉を叩きながら大声で呼んでみても、案の定応答はない。