BAD & BAD【Ⅱ】
朔がさっき怪力ゴリラとかなんとか、私のことを悪く言ったから、お返しだよ。
私と朔が無言でいがみ合っていたら、お母さんがポツリと呟いた。
「……もう、20年、か」
「時が経つのは早いわね」
親友さんが亡くなったのって、そんなに前だったの?
私が生まれる前、だったんだ。
「その親友は、どうして亡くなったんだ?」
朔がまたしても無神経な質問をしたので、もちろんまたしても朔の脇腹に肘鉄を入れてやった。
手加減してないから超痛いはずだよ。アホめ。いい気味だ。
脇腹を抑えて痛がっている朔に唾を吐き捨てようとしたら、いちごさんがクスッと笑った。
ぎこちない、作り笑顔だった。
「不幸な、事故だったの」
声色は、今にも泣きそうなほど儚かった。
涙腺にうるっときて、衝動的に朔の脇腹をもう一度肘で打った。
「いっ……!な、なんでまた!?」
「なんとなく」
「理不尽すぎる……」