BAD & BAD【Ⅱ】




うん、私も今のは横暴だと思う。


だけど、ごめん、さらにもう1回殴りたい気分なんだ。




「親友がね、死に際に最後の願いを託したの。『私の分まで生きて』って。そんなこと頼まれちゃったら、長生きしないわけにはいかないわ」


「健康を保って200歳まで生きて、一緒に子どもの成長を見守っていこうねって、2人が来る前に話してたのよ」




いちごさんとお母さんは、雰囲気を暗くしないように、表情を綻ばせた。




今まで、知らなかった。



2人が……私達の親が、お母さんが、いちごさんが、

そんな辛い事情を抱えて、そんな淡い願いを受け止めて、私達を愛しながら一生懸命育てていたなんて。




複雑に入り乱れる感情で、いっぱいになる。心臓が苦しい。


言葉がうまく見つからない。その代わりに、



「幸珀?どうしたの?」


「幸珀ちゃん……?」



お母さんといちごさんを優しく抱きしめた。




私達のお母さんが、ふたりでよかった。


家族でいてくれてありがとう。育ててくれてありがとう。たくさんの愛をありがとう。



何度「ありがとう!」と叫んだって足りないから、ギューッとハグして伝えるね。



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