BAD & BAD【Ⅱ】
歩きながら食べられるやつがいいよね。そうなると、カップより棒やコーンタイプに絞られてくるな。
どれにしようか迷っていたら、視界の隅に朔が入り込んできた。
「決まったか?」
「あれ、朔も来たんだ。コンビニの前で待っててくれてよかったのに」
「お前、遅ぇんだもん」
「だもんじゃねぇよ」
せっかちかよ。超速で決められるか。じっくり悩ませろよ。
女の性質をわかってないな。女のショッピングは時間をたっぷり使うんだよ。覚えとけ。
「参考までに聞くけど、どれがいいと思う?」
「そこのソーダ味の棒アイス」
「ほ~、んじゃそれ以外にしよっと」
「おま、ひどくね?」
ひどくないよ。きちんと参考にしたじゃん。朔のおかげで選択肢が減ったよ。
……うーん、よし、抹茶味のソフトクリームにしよう。新発売って書いてあるし、安いし、美味しそうだし。けってーい!
ソフトクリームを手に取ろうとした直後。
「あ!」
聞き覚えのある声が、背後から耳に届いた。