BAD & BAD【Ⅱ】
この声は、もしや……。
振り返ると、案の定ピュアオーラ全開の笑顔を咲き誇らせている師匠がいた。
「パーカーマンだ!」
そのセンスのないネーミング、そろそろやめません?パーカーマンの存在を、記憶から消す方でもいいですよ。
できたら、私がパーカーを着ていても、ちゃんと名前で呼んでください。
師匠のせいで、店内にいる人が全員こっち見たじゃないですか。恥ずかしくてたまらないです。
「ど、どうもです、師匠」
「後ろ姿でわかっちゃったよ」
「さすがですね」
いつもは鈍さを極めている師匠は、変なところで鋭くなる。
観察眼が働くのは、主にパーカーマンに対して。
憧れているものには、めっぽう強いタイプの観察眼らしい。どんなタイプだよ、希少すぎるだろ、すごいな。
「それ、夏休みに幸珀へのドッキリの時も聞いたけど……パーカーマンってなんだよ」
「それは忘れろ」
朔、頼むから聞いてこないで。その話題を蒸し返さないで。
どうでもいいでしょ?