BAD & BAD【Ⅱ】
そのホールでは、たかやんと凛が階段の手すりに寄りかかっていた。
「やっと来たか」
「えっ、たかやん、私のこと待っててくれてたの!?」
「違ぇよ。お前じゃなくて、京と朔を待ってたんだよ。勘違いすんな」
なーんだ、私のこと待ってたわけじゃないんだ。つまんないの。
おい朔、今ボソッと「自意識過剰おつ」って言った?言ったよね?目ぇ逸らすな。口笛吹くな。
「悪ぃ、遅くなっちまった。主にこいつのせいで」
「私のせい!?罪をなすりつけんな!」
「ああ、だろうな」
「たかやんも頷かないで!?」
だろうなって何、だろうなって!
朔とたかやん、意気投合しないで!?
そりゃ、ソフトクリーム食べてたせいで、ちょーっと遅くなっちゃったけど、それは私の胃袋のせいだよ。断じて私のせいじゃない。
「幸珀」
「ん?」
近くから名前を呼ばれて目を向ければ、目の前に凛がいた。
うわっ、びっくりした。いつの間に寄ってきてたの?気配感じなかったよ。幽霊かよ。