BAD & BAD【Ⅱ】
ここに捨てられているのなら、神雷の誰かが所有していた物だよね?
しかも、中身はすっからかん。全部使い切ったってことだ。
朝も夜も関係なしに騒がしいあいつらの中に、よく寝付けなくて困ってた奴なんていたんだ。知らなかった。そいつ繊細なんだね。
相談してくれたら、こもり唄でも歌ってやったのに。
「睡眠薬、ねぇ」
……なぜだろう。
少し、ほんのかすり傷程度だけれど。
形容しがたい妙な違和感を感じた。
私の第六感が、ざわついている。
睡眠薬という、神雷には似つかわしくない物をたまたま見つけてしまったから、違和感を覚えたのだろうか。……いや、本当はそう思いたいだけなのかもしれない。
最初に感じた好奇心が、徐々にかき消されていく。
「気のせい、だよね」
きっとそうだ。そうに違いない。
誰にだって、眠れなくて睡眠薬にすがっちゃうことあるよね。私はないけど、一般的にはあるんだよ。うんうん。
特に意識せずに、睡眠薬の箱をゴミ箱に捨て直した。
違和感のせいか、また喉の渇きを感じて、もう1杯麦茶を飲んだ。