BAD & BAD【Ⅱ】
2杯目の麦茶を一気飲みした私は、調理室を出て、遊戯室へ移動した。
扉を開けようとしたら、遊戯室からどでかい笑い声が聞こえてきた。
ホール全体にまで反響したよ。
今日も神雷は元気がいいな。
こんなに賑やかなのに、誰かは睡眠に悩んでたかもしれないんだ。信じられない。もし本当なら、同情したくなる。
肩を竦ませながら、ド派手に扉を開けた。
「幸珀様のおな~り~~」
……誰1人としてこちらに注目してはくれませんでした。
せっかく、大和撫子な雰囲気を出しながら登場したのに。
全員で無視することないじゃん。泣いちゃうぞ、このヤロー。私だけ蚊帳の外にしないでよ。
扉付近でいじけている間にも、快活な爆笑がはちきれんばかりに轟いている。
皆ばっかり楽しそうにはしゃいじゃってさ。いいよいいよ、どうせ私は遅くにやって来た、のろのろ組ですよ。別に羨ましくないもんねっ。
「あっ、幸珀!遅かったね」
ヤケクソ気味にうずくまっていた私に1番に気づいてくれたのは、真修だった。
今だけ、真修がメシアに見えたよ。私に声をかけてくれてありがとう。その優しさに拝みたいくらいだよ。