BAD & BAD【Ⅱ】
鬼じゃないし、乙女だし。
朔が善兄に勝ったのは、あれだ、夢じゃなくて妄想ってやつだ。いっつも勝てなくて、自信をつけるために想像しちゃったんだよ。
イタイ奴だなぁ。
「そういうお前はどうなんだよ」
「見てない!」
「そんなはっきり言わんでもいい」
一語一句滑舌よく述べた私に、桃太郎が呆れながらつっこんだ。
夏休み前に、過去のあれこれを回想したくらいだ。最近は、ない。
「夢を見る暇もないくらい、毎日ぐっすり寝てるよ!」
「お前はぐっすり寝すぎなんだよ」
私達の会話を盗み聞いていたたかやんが、かるたをしながら注意してきた。
睡魔が強敵すぎるんだよね。どこかに雑魚な睡魔はいないのかな。
「そういえば、凛っていつからよく寝るようになったんだっけ?」
朔が頭に浮かんだ疑問を口に出す。
確かに、いつからだろう。