BAD & BAD【Ⅱ】
そう思って、畳の上から出ようとしたら。
「っ、幸珀……」
「え?」
凛の大きな手のひらに、手首を掴まれた。
痛っ。ちょ、力強すぎ!もうちょい優しく掴んで!
「凛、起きてんの?」
「……こ、はく」
顔が前髪に隠れていて、よく見えない。
起きてるの?寝てるの?どっち?
「りーんー?」
「幸珀を、返せ……」
ぎゅっ、とより強く手首を握られる。
やっぱり寝てるのかな。
私を返せって、どんな夢を見てるんだろう。私を奪い合う、三角関係の学園ラブとか?だったら、私も見たいな。
「ん……」
凛が、小さく寝返りを打った。顔を覆っていた前髪が、揺れる。