BAD & BAD【Ⅱ】
逆転フラジャイル
週の後半に差し掛かった。
火曜日の夜中から続いた土砂降りが今朝方に止んで、灰色の厚い雲で埋め尽くされていた空に、群青の光が戻った。
そんな、雨の匂いがする木曜日。
天気は微妙で、曇りと言えば曇り、晴れと言えば晴れ。
湿った空気が未だに残り、髪も唇もカサカサ。女の子の悩みは尽きない。
ダメだと思いながらも、師匠に借りたゲームを徹夜でクリアしようとしたら、クリアはできず。
しかも、いつの間にか朝がやってきていた。もちろん寝不足。一睡もしてない。
お母さんは、目の下にクマをつくっている娘を寝かせようとはせず、洋食の朝ごはんを食べさせて家を追い出し、学校に行かせた。
そして、現在。
私は、何度目かのあくびをしながら、校門を通っている。
眠い。気を抜いたら、立ったまま寝ちゃいそうだ。
整えていないボサボサな髪を、歩きながら手でとかしていく。こういうところが女子力低下の元なんだろうな。とほほ。
目をこすっていたら、前方に一際異彩を放つ後ろ姿を発見した。
あれは……。
その後ろ姿に駆け寄ってみる。
「おはよ、唄子ちゃん」
「幸珀先輩、おはようございます」