BAD & BAD【Ⅱ】
唄子ちゃんはどこにいても見つけられる。
目印は、その傷みを知らない綺麗な金髪。この学校にいる金髪の女子は、唄子ちゃんだけ。
私の髪とは雲泥の差だ。どんなシャンプーとトリートメントを使ったら、この艶を出せるんだろう。教えてほしい。私に女子力を分けて。
しっかし、唄子ちゃんは今日も可愛いねぇ。唄子ちゃんの美貌に、周りの男子も惚れ惚れしてるよ。
「晴れっていいよね」
「そうですね」
当たり障りない会話をしてみる。
唄子ちゃんの視線が、私の周囲に泳いだ。
「今日は、ひろちゃん達と一緒じゃないんですね」
「別に弘也達と登校してるわけじゃないからね」
「そうなんですか?」
「前は偶然」
「それならそうと言ってくださればよかったのに」
……うん、言おうとしたよ?
でも、唄子ちゃんが聞いてくれなかったんだよ?