BAD & BAD【Ⅱ】
「そのせいで、どう証明したらいいのか、考えがまとまらないんです。得意だったはずなんですけどね」
……嬉しいな。
私が、唄子ちゃんの人間味溢れる一面を引っ張り出している。
もっと、いろんな唄子ちゃんを私に見せてよ。
着実に、唄子ちゃんとの心の距離が縮まってる気がする。
さあ、先輩と後輩の仲をさらに深めようじゃないか!
「でも、必ず証明してみせます。ひろちゃんの特別は、あたしだけだって」
「頑張って。わくわくしながら、その日を待ってるよ」
「はい、頑張ります」
出た、唄子ちゃんの十八番、パーフェクトスマイル。
一点の曇りもない、100点満点の笑顔だよ。
私も真似して、器用な笑顔を返そう。
生徒玄関で唄子ちゃんと別れ、教室へ向かおうとした途端、睡魔が瞼を重くしてきた。
唄子ちゃんとの会話が楽しすぎて、忘れてた。そうだ、私、寝不足なんだった。あのままずっと忘れていたかった……。
ダメだ、頭がうまく働かない。眠すぎて、何もする気になれない。歩くことすら難儀だ。
教室ってこんなに遠かったっけ?