BAD & BAD【Ⅱ】
殺気をバシバシ飛ばしていたら、左隣のたかやんに頭をチョップされた。
「喧嘩やめろ」
「はいはい」
「返事は1回」
「はいはいはい」
「なんで増えてんだよ!?」
今までは、たかやんはあくまで弘也を演じていて、みかん色の髪も不思議なくらいぴったり合っていた。
だけど、今隣にいるのは、紛れもなくたかやん自身。
たかやんが髪をみかん色に染めていると思ったら、急に笑えてきた。見慣れていないせいか、全く似合ってない。ウケる。
「入れ替わりがバレちまってるなら、いっそ協力してもらうか」
「そうだな」
「さんせーい」
笑いをこらえている私をよそに、たかやんと弘也が剛に同意した。
私抜きで、淡々と話を進めないでもらえます?
協力って言われても、作戦の詳細次第じゃ、傍観者を貫くことだってあるんだからね。
「そろそろ作戦のこと教えてよ」
「ああ」
「まずは作戦名から」
「んなもんねぇよ」
剛に当たり前のように返されて、思わず持っていたおにぎりを落としそうになった。