BAD & BAD【Ⅱ】
ズキズキ痛む頭をさすりながら、尋ねる。
「そっちってどっち?」
さっきのツッコミ、よくわかんなかった。
そっちかよって、何が?
「あのしんみりとした雰囲気の中で声をかけられたら、普通俺らの過去を聞いてくると思うだろ」
「それな~。なのに、全然違うこと言ってくんだもん。意表突かれたわ、まじで」
剛も2人と同じ気持ちのようで、私を胡散臭そうに睨んでいた。
はい?
何それ。
「なんで私が、双子の過去を聞いてあげなくちゃいけないの」
「冷たくね~?」
「さっきの弘也の方が冷たかったから大丈夫」
「何が大丈夫なんだよー!」
境界線が引かれていなかったら、なんでもかんでも聞くと思うなよ。
桃太郎の過去を聞いたのは話題提供のため、剛の信念を聞いたのは裏切りの真相を録音するためだった。