BAD & BAD【Ⅱ】
本当に、唄子ちゃんが初恋だったんだ。
前に唄子ちゃんが言っていたっけ。唄子ちゃんと弘也は、初恋を捧げた者同士だって。
大人に近づくにつれ、「好き」が募っていったり濁っていったりして、形を変えていく。
それは当たり前のことで、ちょっと切ない。
「あいつとは家も近所で、学校も同じで、よく一緒に遊んでた。俺はあいつを、本当の妹みたいに可愛がってた」
たかやんは妹、弘也は初恋の人。
そうやって、幼いながらに築き上げていった関係は、時が経てば崩れてしまう。
まるで、砂の城のようだ。
私と朔と真修の幼なじみという関係も、子どもの限界ですれ違っていたせいで、一時期小さくすり減らしていた。今は元通りに修復できたけれど。
「ある日、あいつに告白したんだ」
「告白!?」
「うん。『好きです。付き合ってください』って」
弘也、随分と積極的だな。
昔は真面目だったって言うから、慎重派だったのかと想像していたけど、そういうところは今と同じなわけね。
「それで?付き合ったの?」
「もちろん。僕が振られるわけがない!」
当時から自信に満ち溢れてたの?すごいね。