BAD & BAD【Ⅱ】
私が小学生の時は好きな人はいたけど、“あの日”のこともあってか、告白したりされたりはなかった。
弘也の分際でリア充なんてずるい。どうせなら、ばっさり振られればよかったのに。
「でも、『付き合ってください』って自分から言ったくせに、何をどうしたらいいのかわからなくてさ。今と違って、女心も全然理解できてなかったし」
ん?今と違って?今も、の間違いでしょ?
あんた、いつも乙女な私を足蹴にしてんじゃん。
早く意味不明な弘也ルールをなくして、私のことも女扱いしろっての。
「そんな僕に、あいつが言ったんだ。『女の子には優しくしないとダメだよ。女の子はお姫様なんだから』って」
唄子ちゃん、いいこと言うねぇ。
そうだそうだ!私をお姫様だと思って優しくしろ!
「言われた通り、荷物を持ってあげたり、些細な変化に気づいてあげたり、可愛いって褒めたりして、優しくなろうと努力した」
「それがきっかけで、王子様キャラ化した弘也に、好意を寄せる女子が増えていったんだ」
付け足すように、たかやんが深刻な顔をして言った。
えっ、優しくしてたのって、女子全員にだったの?てっきり、唄子ちゃんにだけかと思ってた。
弘也のどこを見たら、王子様だと錯覚できるんだろう。キショいわ、やめて。