BAD & BAD【Ⅱ】
自分から語りたいと言ったのに、ここで話を終わらせるわけがない。
私達の方から、どんな出来事だったのか問いかけてもよかったのだが、お互いに何もしなかった。
2人のペースで焦らずに、辛さを飲み込まずに、ひとつずつ明かしていけばいい。
――キーンコーンカーンコーン、昼休み終了のチャイムが鳴り渡った。
まだ、話は続く。
つまり、ここにいる4人全員、サボり決定だ。
時間はたっぷりある。
いいよ、私の自由な時間を好きに使っても。許してあげる。
私に聞かせてよ。2人に「嫌い」が芽生える瞬間を。唄子ちゃんが堕天する瞬間を。
「……おかしいなって、ちょっと感じてたんだ」
漂う森閑に、弘也のか細い声が馴染んでいった。
「あいつはいつも僕を独占するみたいに僕にべったりくっついて、登校する時も下校する時も一緒だったのに、その日の放課後は『用事があるから、先に帰ってて』って僕のそばをあっさり離れたから」
それ、わかる。
私もそうだった。教育実習最後の日に善兄が何の罠もなく別れて、ホッとした反面、嫌な予感ばかりが過ぎった。
その人らしくない言動をされると、違和感というか、得体の知れない恐怖を感じるんだよね。自分と関わり合いのある人だと、なおさら。