BAD & BAD【Ⅱ】
え?なんで?
怪我とか人数とか、状況を全て踏まえれば、一目瞭然じゃん。
「あいつは自分をお姫様とか名乗るイタイ奴だったけど、普段はすっげぇいい子でいたから、いじめをするような生徒じゃないって先生が信じきってたんだよ」
私の考えていることを汲み取った弘也が、ピリピリしながら補足してくれた。
先生、無能かよ。1人の生徒に加担しすぎじゃない?
もっと唄子ちゃん以外も平等に見てあげて!
「被害者である女子達がいくら抗議しても、結果は変わらなかった」
「被害者の親も連れてきて、モンスターペアレント並みに争えばよかったのに」
「それ、やった」
「えっ、まじで?」
たかやんは「まじでまじで」と頷いて、口を大きく曲げた。
それでもダメだったの?
「あいつが『あたしがいじめてたことでいいです。それで丸く収まるなら……』って悲劇のヒロインぶって嘘泣きして、先生も親も完全に味方につけちまったんだ」
わーお、唄子ちゃん演技派だねぇ。
私が被害者だったら、ぶん殴ってるよ。