BAD & BAD【Ⅱ】
私を監禁したあの事件の犯人は、3年過ぎた今でも、はっきり憶えている。
けれど、犯人は捕まっていない。
私自身が、警察沙汰になるのも犯人を探し出すのも、拒んだんだ。
事件を掘り下げるために、自分の時間も環境も心も窮屈になって、いろんな意味で束縛されてしまうのは、嫌だったから。
それに、きっと。
犯人を探しても、捕まりはしないだろう。
それほど厄介な相手なんだ。
捕まえようとすることで、犯人がまた私をどこかに監禁する確率が高いことも、嫌だった。
「犯人から運良く逃げれたはいいけど、今いる場所がわからなくてとりあえず無我夢中に走っていた私を、朔が見つけてくれたんだよね」
「誰もが平常ではいられなくなる状況で、とりあえず無我夢中に走れるお前って、すげぇよな」
「でっしょー?もっと褒めてくれてもいいんだよ?」
「いや、それは遠慮しとく」
なぜ!?
遠慮しないで、そこは褒めてよ!