BAD & BAD【Ⅱ】
1年は長いね。私は2週間で限界だったのに。
同情するよ。
ご苦労様、弘也。その分、今はゆっくり休んで。
「でも、進級してちょっとしたら、あいつが親の転勤で引っ越すことになって、ようやく解放されたんだ」
「よかったね」
弘也の肩を、ポンと優しく叩く。
その数年後……てか現在、唄子ちゃんはこっちに戻ってきちゃったんだけどね。
「転校直前に、あいつがやっと恋人関係の解消を認めたかと思ったらさ、今度はなんて言ったと思う?」
「うーん、あきらめない宣言とか?」
「んなあまっちょろいもんじゃないよ。『許嫁ってことで我慢してあげる。ひろちゃんとあたしが運命の赤い糸で結ばれてる王子様とお姫様であること、忘れないでね』って言ってきたんだ」
許嫁の設定はそこから始まったんだね。
自称許嫁で正しかったんだ。
「まっ、あいつがこっちに越してくるまで、きっぱりすっぱり忘れてたけどね」
でしょうね。