BAD & BAD【Ⅱ】
軽薄なフランボワーズ
授業から解放された、くつろぐにはもってこいの昼休み。
私は大宮ツインズより一足先に、屋上に来ていた。
運良く、屋上には誰もいない。昼休みになってすぐ、弘也が屋上に続く階段に、立ち入り禁止テープを貼った効果かもしれない。
今日の弘也は、忙しい。
扉の前で誰か来ないか警備する仕事も、私と剛が弘也に無理矢理任せたせいで、弘也は休む暇がない。
それに、唄子ちゃんが屋上に近づいてきたら、立ち入り禁止テープを一度剥がして、
物陰に身を潜めて唄子ちゃんにバレないようにして、唄子ちゃんが屋上に入ったらまた立ち入り禁止テープを貼らなくてはならない。
ね?忙しいでしょ?
え?少しは仕事を分けて、弘也を手伝ってあげたらだって?そんなの嫌だよ。面倒くさい。立ち入り禁止テープ関連は、それを所有してる弘也がやらなくちゃ。
昼休みの屋上は、太陽の光と風の温度がちょうどよく混ざり合っていて、心地が良い。
私は給水塔の上でうつ伏せになりながら、たかやんと唄子ちゃんが来るのを待った。
隣には剛がいて、私と同じ体勢になってる。
伏せるのにはちゃんと理由があって、私と剛がここにいるのをわかりにくくするため。何より、すっごく楽なのこの体勢!ひなたぼっこしてるみたい。
「ねぇ、剛」
「なんだよ」
「剛はいつ2人の過去を聞いたの?」