BAD & BAD【Ⅱ】
剛の言う「普通」が、全く以てわからない。迷宮入りのミステリーだ。
「同情、ねぇ」
長く長く、息を吐き出す。
昨日のことを回想しながら、頬杖をついた。
「同情してるよ?してるけど……」
「けど?」
「私の感情論や気持ちを、押し付けようとは思わない」
唄子ちゃんを嫌いにならないであげてとか、逆に嫌いになって当然だよとか言ったって、どうせ2人の気持ちは変わらない。
もしも変わったら、その程度の安い気持ちだったってことだ。
でも、そうじゃないってことは、いつも2人を見ていればわかる。
「だから、2人もあれ以上は聞こうとはしなかったし、私も何も言わなかったんだよ」
弘也が感想を求めてきたのは、さっき私が剛にした質問と同じ、雑な理由。
昨日私がペラペラ想いを語っていたところで、価値も意義もない。
「剛が2人の過去を初めて聞いた時も、似たような感じだったんじゃない?」
「俺の時はもっと感動的だった」
「ここで張り合わなくていいから!」
「張り合ってねぇし」