BAD & BAD【Ⅱ】




俺の方が仲いいぜアピールやめろ。ウザい。

昨日もまあまあ感動的だっただろうが。




「……それに、」


「ん?」


「同情よりも、共感の方が大きかった気がする」


「あの怖くて過激な過去に?」


「そう、あの怖くて過激な過去に」




笑いながら、頷く。


弘也の幼い心と、重なる部分が多かった。さすがに全部ではないけれど。



時には誰になんと諭されようと、流されることのない、確固たる意志を持った気持ちが存在するものだ。



私も、そう。



よき理解者で、本当のお兄さんみたいだった善兄を、ある日突然嫌いになった。


いくら周りがはやし立てても、嫌う意味をおかしそうに問いかけてきても、「嫌い」が「好き」に戻ることは決してない。




善兄が、あんなことをしたんだから。




……怖い。

あのおどろおどろしい笑顔が、愛に塗れた鎖が、監禁する不穏な空間が。



私の強さを、もぎ取っていく。



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